出雲大社の拝礼作法

出雲大社の拝礼作法

 出雲大社の拝礼作法が、他の神社とは違う「四拍手」であることはよく知られていますが、もっと正確にいいますと「一拝・祈念・二拝・四拍手・一拝」なのです。
 一般の神社では二礼二拍手一礼と覚えている方が多いと思います。「礼」でも構いませんが、神社界では「拝」を使います。「拝」とは頭を下げることですが、背中を平らにする、つまり上半身を九十度に折ることをいいます。

出雲大社の拝礼作法

 それでは、出雲大社の拝礼作法を詳しく見ていきます。

一拝 : 深いお辞儀をします
祈念 : 拝と同じように深いお辞儀をして、まず自分が今ここに生きている感謝のこころを捧げます。そして、これから自分の行うことや、心に思っていることを祈念します。
二拝 : 深く二度お辞儀をします。
四拍手 : 静かに両手を胸の高さに伸ばし、四度拍ちます。拍手は真剣な気持ちで、神のおかげを心から感謝し拍たねばなりません。
一拝 : 深いお辞儀をします
 
 (出典:「縁結び-大国主大神とわたくしども」出雲大社教神道青年会)

祈念

 この参拝作法の中に、「祈念」というのが入っていることに気がつかれたと思います。
 実は現在の神社の作法では、どこでお祈りするのかは決まっていません。ですが、たいていの人は拍手のあとにお祈りしているのだと思います。それは間違いではありません。
 これが出雲大社では決まっていて、拍手より先に行うのです。二拝四拍手一拝の前に祈念があり、その前に一拝があると考えればよいでしょう。
 出雲大社のお祭りを見ていると、神職も同じ拝礼をしていることに気がつかれると思います。ただ、拝でも祈念でも頭を下げますので(微妙に作法は違うのですが)、端から見ていると、四拝四拍手一拝しているように見えますが、一拝祈念二拝四拍手一拝を行っているのです。

祈念の内容

 では、祈念で何を祈るのか。まずは感謝から始めるのがよいでしょう。お願いをすべきでないという意見は貴いですが、やはり私たち日本人は昔から神さまにお願いをしてきましたから、お願いしましょう。
 神前で祈る際に名前と住所を言う、という話もあるようですが、必要ないかと思います。真剣にお願いする場合は御祈願をお願いしましょう。お供えすると言うことも重要ですが、神前で名前が読み上げられるということも重要なのです。

 出雲大社に限りませんが、最近神前で長くお祈りをする人が増えました。間違いではありませんが、後ろにたくさん人が並んでいる場合は、賽銭箱の正面からすこし外れたところでお祈りしましょう。神さまはわかっていただいています。

拍手

 神社では正しい拍手の方法も決まっていて、神社本庁の「神社祭祀関係規程」ではこのように規定されています。

拍手
「両手を胸の高さに合はせ、右手を少しく引き、左右に開きて打ち合はす。」

右手を少し引くことについてですが、「節が当たるから不幸せになるのですこしずらす」という話が一部で流布しているようです。面白い想像ですがただの語呂合わせ的なものであると思います。私見では単純な話、節同士が当たって痛いからではないかと思います。神職は拍手で綺麗に音を出さなければなりません。特に出雲大社の場合は四連続で綺麗に出す必要があります。そこで、拍手の打ち方は神職によって自分なりのやり方があり、微妙に違っているのです。

祈りが大切

 拝礼作法は大切ですが、そればかりに気を取られて慌ててしまって、肝心のお祈りがおそろかになってしまってはいけません。出雲大社式の場合だと、拍手より先にお祈りするということで戸惑うようです。
慣れないうちはとにかく四拍手は行って、お祈りをしっかりしましょう。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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