神さまと話ができるという人
神さまと対話、お話しができる、という人と何人かお話ししたことがあります。
その人の中の感覚によるものなので、私も含めた周りの人間はまったくわかりませんが、直接お話しする限り、女性が多いですが、本当かと疑ってしまうような変わった方は少なかったですね。
神はいない?
神さまとお話しができる人というのはよいのですが、神主として困るのは、たまに「ここに神はいない」などと言う人がいることです。ご本殿に神はいないと言うだけでなく、小さい摂末社を指して「本当の神はここにいる」とか言ったりします。
もちろんその人自身がそう感じてそう言うのは自由なのですが、それを聞いた人が真に受けてしまうので非常に困ります。神社からすると営業妨害?(神社は商売ではないので営業ではありませんが)に思えてきます。
神道の思想で言えば、神は実体があるわけではありません。人間なら京都にいる人が東京や大阪に同じ時間に存在することはありませんが、神さまは一つではありませんから、同じ神さまがいろんな神社で同時にたくさんの参拝者からお願い事を聞かれることも可能です。ですから、神はいないとか言うの不思議ですね。呆れて仕事放棄された、とかいうことでしょうか。本当にさぼったりひどい事してるならともかく、真面目に奉仕してるのにそんなこと言われたら、神主としてはたまったものではありません。
小さいお社の方が本当の神とかいうのも、その理由がよくわかりません。パワースポットの話でよくありますが、当たり前のことを言っても話題にならないので、わざと外してちょっと変わったところを指摘する人がいますが、それに近いものなのかな、と思います。
神さまとお話しがしたい
「この神社を訪ねた時、神さまからよく来たなあと褒められ、そしてこのようなメッセージを頂きました」みたいな話をインターネットや本で見たりすると、自分も神さまとお話しが出来るようになりたい!と思うのは自然なことなのかもしれません。特にスピリチュアルに興味がある人はそうでしょう。
訓練とかしたらこのような霊能力が手に入るのかというと、それはどうも難しいようです。修行とか開発セミナー?みたいなもので霊能力が身につきました、という人を聞いたことがありません。天賦のものだと感じられます。
神さまと話できなくてもよい
神さまとお話しする必要が必ずあるかというとそうでもありません。実は神さまなのかどうかもわかりませんし。神さまを騙ってる何かの霊だったりすることもあるのかもしれません。よくわからない素人がこの世界に深入りすることはむしろ危険です。
それより、神さまが思われていること、願われていることを自分で考えていきましょう。神さまは偉い存在ではありますが、私たちの祖先でもあります。神さまが何を考えておられるのか、まったくわからないということはありません。その神意を頂いて、神さまの御心にしたがった暮らしをすれば、護っていただけるのです。
<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。