人生失敗しても何度も立て直しをしましょう

倒れても何度も立て直す

 現在の出雲大社の御本殿は高さ8丈(24m)あり、神社の中では最大の御本殿です。しかし、古代には16丈(48m)と現在の二倍の高さがあったといわれています。その形は九本の太い柱(その柱も大きな木を三本組み合わせて一本の柱にする)がずっと上に伸びて、その上に神殿が載っているという、例えでいうと火の見櫓のような形をしていたといわれています。出雲大社の横にある古代出雲歴史博物館にその模型がありますから、関心がある方はぜひ一度ご覧下さい。

 出雲大社の古代の御本殿はビルのように縦に高い建物ですから、当然倒れやすくなります。実際に記録が残るようになった平安時代には、御本殿が倒れたとの記述が何回かあります。神さまのお住まいなのだから、そんな不幸なことはあるわけないのでは、と思われる人もいるかもしれませんが、やはり自然の影響を受けます。この頃は礎石を使わず、地面にそのまま木を立てる掘っ立て柱でしたから、木が土に触れる部分は痛みやすくなります。ですから、倒れる時は倒れるのです。

 しかし、御本殿が倒れても、必ず立て直しました。倒壊を防ぐために定期的に修理したり、新しく立て直すことを行ってきました。それが遷宮です。しかし、天災ややむを得ない事情で遷宮よりも前に倒れることがありました。神殿が倒れたからもう終わりだ、日本人はそうは思いませんでした。必ず再建したのです。

 ただ、武士の時代となり、朝廷の力が弱まると、高層神殿を建てる力が無くなり、出雲大社の御本殿もだんだんと縮小されていきました。戦乱にあけくれた室町時代には高層神殿どころか、現在の御本殿よりもかなり小さいものになってしまいます。それでも、新たに立て直され続けて維持されてきたのです。
 泰平の世の江戸時代になって再び御本殿が大きく復活しました。現在の御本殿は江戸時代に造られたものです。大きさの堂々とした建物です。小さくなっても続けてきた、これが非常に大切なことでした。。

 人生もこれと同じではないかと思います。大きな不幸や予期せぬ災いにあって、落胆することもあります。最悪の場合はすべてを失って、生きる気力も失ってしまうということもありえます。しかし、そんな時でもまた新たに立て直す、その気持ちが大切なのだと思うのです。
 私個人も何度か人生の転機がありました。うまく行かない時もありました。そして、今後もまたゼロになるような状況に陥るかもしれません。でも、決してあきらめずに生きる、そうすると、出雲大社の御本殿が大きく甦ったように、またうまく行く時が来る、そう思って頑張って生きていこうと思っているのです。


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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

★教会長中島の本が出ました!
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