思いこみの力の大切さ
どなたのお話かは忘れましたが、食べ物の嫌いというものにはかなり心理的な要素が強い、ということを聞きました。とにかく苦いとかとにかく辛いなど特殊なものではなく、一般によく食べられている食べ物で嫌いになるというのは、嫌いだという思いこみが強いからだということです。確かにそうかもしれないと思いました。私は鶏肉があまり好きではありませんが、鶏の出汁を使ったラーメンなんかは喜んで頂きます。
アレルギーは体の反応ですから全く別ですが、食べ物の嫌いに関しては何か幼少の頃の思い出などがあって、嫌いと思いこんでるから、ということです。
食べ物だけではなく、私たちはたくさんの思いこみを持っています。例えば、私はストレスがたまらない人間だと自分で思いこんでいるのですが、そう思うと確かに溜まったような気がしません。そもそもストレスってなんなのかよくわかりません。英語ですし、そもそも重い物がかかる力、という意味の単語らしいですが、現在の日本では、なにやら溜まる疲労や不満のような意味で使われているように思います。英語だからよくわからんし、自分には関係ないわと思っていたら、確かに気になりません。反対に私はストレスが溜まってしかたないとか思うと、気になりだして、またそういう気がして結果としてどんどん溜まっていくのではないでしょうか。ストレスが溜まると思いこんだ瞬間に、ストレスの受け皿が心の中でできてしまう。自分の心の中で作った概念に反対に支配されてしまっているような感じがします。
自己暗示ということになるのでしょう。そういえば私は、自分はどんな所でも眠れると思っています。大学のサークルの時などは、夜中に明かりつけたままで周りは宴会が続いてたりしましたが、そんな中でも眠ることができる、と思っていると、いつの間にか寝ています。これが周りが気になって眠れないとか、自分は神経質だからとか思ってしまうとなかなか眠れません。
思いこみには良いものも良くないもの両方があります。例えば、あの人は私を嫌っているはずだとか思いこみ出すと、実際にそうではないのに、どんどんそう思えてきます。良い方向であっても、あまりに強い思いこみを持つとよろしくないこともあるかもしれません。元々の人間の性格にもよりますが、悪い方悪い方に考えていく人は特に、よい思いこみをたくさん持つことが必要なのではないかと思います。
神さまについても、あの神社は、あるいはあの神はどうも自分と相性が悪い、とかいう人がいますが、悪い思いこみのように感じます。神さまの場合は思いこみでなくて信じるということですが、自分は神さまにいつも守られている、と信じることは大切だと思います。
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<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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