神社ですべきではない、しないほうがいいことを語ります

神主中島の部屋「神社でやるべきことやらないこと」

 神社にお参りする人が増えてきて、大変喜ばしい昨今ですが、占い師や霊能者の人たちの中には独自の参拝方法などを提案している人が少なくありません。よい話もあるのですが、神社としては困るようなことを提案する人もいます。
 そこで、神社でやるべきではないことを考えてみました。当たり前のことははずして、知らない人がいるかもという話を挙げてみます。

殿内の写真を撮る

 神社の社殿、建物を外側から写真撮影するのは問題ありませんが、殿内で撮影するのはやめておきましょう。また、参拝するところからのぞき込むように内部を撮影するのもよろしくありません。なお、マスコミや出版社は神社の許可をもらうか、あるいは神社側が提供した写真を使っています。

 シニア世代の男性に多いのですが、常にカメラやビデオカメラを持って何か撮影している人がます。殿内でもいつもの感覚で撮影しようとするので困ります。この世代は信仰心が薄い人も多く、また注意するとメンツを潰されたと噛みついてくる人も少なくありません。対策に苦慮しています。

 これをやってしまうもう一つの人たちはSNSに載せたい、という人です。中年の女性に多いです。信仰心はあるのですが、どうしてもツイッターやインスタグラムなどに載せていいねが欲しいという気持ちが押さえられないようです。わからなくもないですが、神さまに失礼です。我慢しましょう。

神社の物を持って帰る

 神社が正式に授与しているお守りやお札、あるいはパンフレットなどではなく、神社にある石、小石、動物、植物などを持ち帰らないようにしましょう。ひどいのになると木の皮を剥いでいく人がいますが論外です。気軽な気持ちで、記念品として持って帰った人もいるかもしれません。その場合はできる限り元の神社に戻しましょう。

 神社にあったものを勝手に持って帰ったからと言って、必ず祟りがあるとか、よからぬ事が起こるとかは言いませんが、反対によいことがあるわけでもありません。ですから、わざわざ持って帰る必要はありません。

 なお、小さい子供が何も知らずに昆虫とか取って帰ってくることがありますが、それなら仕方ありません。次から取ってこないように話をしましょう。

長々と神前で祈る

 これは必ずしも悪いわけではなく、神社が大変混んでいる時の話になります。

 初詣や大きなお祭りの際に、ずらっと参拝者が並んで長い行列ができることがあります。そんな時でも賽銭箱の真ん前で長々とお祈りする人がいますが、その時は横によけてお祈りしましょう。賽銭箱の前でないと願いが通じないということはありません。

 後ろに並ぶ人も、前で参拝する人を妨げないように遠慮して待つので大行列になってしまいますが、実はこれは神社側としては困っているのです。横からお賽銭を入れても大丈夫です、とお話ししても、なかなか皆さん応じてくれず、それを見た後ろの人も賽銭箱の前でないといけないのかなと感じて、結局長い待ち時間が必要になります。
 私はこのような場合は列を無視して横からお賽銭を入れて、横の方に移動してお参りしていますが、これで問題ありません。もちろん先に参拝している人の邪魔はしないようにしています。

 参拝者が少ない時などは、もちろん賽銭箱の前でお祈りしても問題ありません。長い時間掛かる場合は周りの様子を見ましょう。つまり、周りの人たちにもどれだけ気遣いができるか、ということが大切なのです。

 神前で何をお祈りするかということについては、何か決まりがあるわけではありません。最近、神さまに願いを聞いていただくためには、住所から名前から何から何まで唱えましょう、という話が広まってるようですが、特にそんなことはないと思います。
 本当にお願いしたいことがあれば、ご祈願を依頼しましょう。お祭りを行ってもらうようなことになるありがたいことですし、神前で神職がお名前住所とお願いを申し上げます。これが重要です。

近い家族の死後50日以内に参拝する

 これは重要な話です。親子、配偶者あるいは同居の家族が亡くなられた場合、その命日より50日以内に神社に参拝するのは遠慮しましょう。亡くなられたみたまさまが、あの世で安らかにお鎮まりになられるよう、それだけを家の祖霊舎や仏壇でお祈りしましょう。

 神社好きの人とか、あるいは毎日神社に参拝するのが日課になっている人などは、なんとか理由をつけて参拝したくなるようですが、この日数だけは我慢して下さい。
 また一部で、このような場合「鳥居をくぐらずに鳥居の横から入れば参拝してもいい」という話があるようですが、それはおかしな話です。神社の境内に入ること自体がよくないのです。

賽銭で語呂合わせする

 お賽銭の金額というのは、お金の話ですので少し気になります。中には妙な語呂合わせをする人がありますが、特に意味はありません。十分にご縁があるように15円とか、始終ご縁があるように45円とかいろいろあって、話を聞く分には面白くはありますが。

 意味がないのはなぜかというと、これは単に自分の都合だからです。受け取る立場になって考えるとわかります。語呂合わせで験担ぎたいのはわかりますが、金額は金額で変わりません。
 それから、金額をとにかく引き下げる方向に行くのも特徴です。低い金額を正当化するかのような話が多く、全部5円玉にするとか自己満足の方向に進むのも気になります。

 占い師の人の話とかあるいはそれを利用したネットニュースとかさまざまな情報が流れますが、あまり気にせずに、自分がこうすべきではないのか、というのは自分で考えることが大切です。

お祭りを途中で抜け出す

 神社でもっとも重要なものはお祭りです。ですから、お祭りに参列するというのはありがたいことです。参列と言っても正式に招待状が来るレベルから、単に観光客として来たというレベルもあります。

 いずれにせよ、お祭りに参列する場合は、最初から最後までいるべきです。そうでないと意味がありません。ただ、来賓でもない一般の参列だと、全員で一斉に拝礼するくらいで、それ以外にやることはなく、座りっぱなしであることがほとんどですが、こうなると、途中で帰り出す人が出てきます。

 お祭りは修祓→宮司一拝→献饌→祝詞奏上→巫女舞→玉串→撤饌→宮司一拝という順序でだいたい行われるのですが、玉串奉奠(出雲は玉串拝礼)か撤饌あたりになると、退屈なのか、早く出たいのか、帰り出す人が出てくることがあります。これが非常に困るのは神聖な場がざわつくことです。さらにそれなら自分もと、他に帰り出す人が出てきたりして、まだお祭りが続いているのに見苦しい状況になります。神主はざわついても知らない顔でやっていますが、本当はこれが音が聞こえてきて、非常に気になるのです。

 お祭りに参列すると決めた以上、最後までいましょう。また時間の問題で最後までいられないというのならば、最初から参列すること自体をできるだけ遠慮しましょう。

神札以外のものを持ってこない

 神社には古いお札やお守りを納めるところがあります。中にはいろんなものを持ってくる人がいますが、基本的には神社が出したお札、お守り、その他授与品(破魔矢など)だけにしましょう。神社によっては昔からの習わしでしめ縄などを納めてよいところもあります。それは神社に問い合わせて下さい。

 他の神社のものを持って行くのはよいのですが、お寺のものはお寺に納めましょう。一番困るのは燃えないものです。神社が出したプラスチックやビニールを使った授与品を受け取って処分するのは当然ですが、全く関係のないものがだされていることがあります。
 プラスチックの樽に入った大きな門松が一式置いてあったのを見たことがありますが、これらはできる限り自治体指定のやり方でゴミとして出して下さい。

 他に人形とかぬいぐるみがあったりしますが、こちらも感謝の念を込めてゴミとして出せばよいですが、どうしても気になるのなら供養してるところに出しましょう。

神札、お守り、朱印を転売する

 以前はお札やお守りを転売する人というのがいる、とは思いませんでした。インターネットが普及してネットオークションが現れ、そしてスマートフォンが普及してますます気軽にできるようになり、神社の授与品やさらに御朱印などを転売する人が現れてきました。
 神社側としても困る状況です。心ある人はやめておきましょう。

 なお、友人に頼まれて、神社で入手して帰ってきて渡す、というのはまったく問題ありません。転売益が目当てで知らない人に売るというのがいけません。そういう形で自分の金儲けに使っては本当によろしくありません。

 なんでも転売できるのなら転売して稼ごう、という人も増えてきているようです。しかし、転売してはいけないもの、というのがあります。もちろん、転売する人から買ってはいけません。正しく神社から頂いてください。 

忍び手をしない

 普通拍手は手を叩いて音を出しますが、手は合わせるけれども音は出さない、という拍手もあり、それは忍び手(しのびて)といいます。この忍び手を使うのはお葬式と五十日祭が終わるまでの間のみです。

 ですから、忍び手は神社の社頭では行わないのですが、以前テレビで有名な占い師の人が、女性は拍手で音を出してはいけない、と言われたそうで、実際に行う人たちも現れ、神社界は困惑していました。テレビでやると影響力が大きいですし、お葬式でしかしないものを神社でされると非常に気になります。

 占い師や修験者や霊能者などいろんな人がいますが、変わったことを言わないと差別化できないために、神社や参拝作法について、神主から見ると首をかしげるようなことを提案する人も少なくありません。  そのようなものを簡単に信じないで、基本を外さずにお参りしましょう。不明な点あれば神主に聞けば教えてくれます。

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

★教会長中島の本が出ました!
 日本人が伝えてきた心、そして生き方を、神道、神さまの話を中心としつつ、語った本です。相当な時間を掛けて作り上げました。ぜひ一度お読みください。

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