鳥居について
鳥居とは
神社の入り口にある鳥居。地図記号にもなっているように神社をイメージするものとなっています。しかし、意外なことに、その起源、名前の由来などはよくわかっていません。
鳥居の起源や名前の由来は不明
鳥居の形はなぜあの形なのか、入り口に立つ門のようなもの、であるとは思いますが、詳しくはわかっていません。その起源については、日本独自に生まれたものという説と、海外から来たものであるという説に分かれています。その海外も中国、インド、南洋の島からと諸説あるという状況で、つまり、本当によくわからないということです。発生の時期も古代からあったという意見もあれば、奈良時代平安時代くらいからものだという意見もあります。
ただ、鳥居は上部に横棒が二本あり、下の棒を貫(ぬき)と呼びますが、その貫がある構造は日本独特の物ではないかと言われています。
鳥居はなぜ鳥居と呼ぶのか、その名前の由来も同様によくわかっていません。鳥が居るところだからとか、通り入るから来ているのではないかなどと諸説ありますが、これが有力というものはありません。
ということで、起源などについては本当にわからないわけですが、個人的にはこのようなものは日本で生まれて古代からあるものではないかと考えています。あくまでも推測ですが。今後発掘される土器や銅鐸などに、鳥居のようなものが描かれているものが出てくると、少なくとも古代からあったという可能性が高まります。それを期待したいと思います
鳥居の材質と形
神社の社殿は、最近建てられたものにはコンクリート造りのものもありますが、基本的には木材の所がほとんどです。鳥居に関しては、最近のものにはコンクリート造りもありますが、昔から木材の他に石材のもの、金属製のものもありました。
鳥居には種類がたくさんあります。大きく分けると神明系の鳥居と明神系の鳥居の二つになります。そこから小さい違いで何種類かありますが、ここでは説明を割愛します。蘊蓄としては面白いのですが、筆者は個人的には重要視していないからです。形に違いがあっても、信仰における役割には違いがありません。
鳥居の役割
形よりも鳥居の役割、果たしている機能が何か、ということを考える方が大切です。
といっても、皆さんわかっているように、境界にある入り口、鳥居をくぐることで聖なる領域に入るものということになります。境外と境内の境にあって、ここからが神社の神域となる鳥居が最もわかりやすいですが、また境内に鳥居があったり、あるいは境外に鳥居があったりもします。これらも鳥居をくぐることでさらに神域である濃度が高まると考えるのがよいでしょう。
境内の摂社末社の前に鳥居があることもあります。この場合はそこからその摂末社の神域になるということです。
鳥居で行うこと
境外と境内の境にある鳥居ではここから神域に入るわけですから、一礼してから入りましょう。また出る際にも振り返って一礼しましょう。さらに境内にある鳥居の場合には、どうすべきか神社によって異なります。その神社の神職がたまたま通りかかった時にどうするかで判断するしかありません。
それから、参道と同じく、中央は神さまの通り道になりますから、そこに立たず、少しは左右にずれて鳥居をくぐってください。
喪中に鳥居をくぐらずに?
身近な家族や同居家族が亡くなった場合、50日間は神社への参拝を遠慮します。ところが「50日までは鳥居をくぐるな」という言葉が使われることがあるため、本当に真に受けて鳥居をくぐらず、横を通れば神社にお参りしていい、と解釈している人もいるようです。
そうではなくて、神域に入ることを遠慮しましょうということですから、50日が過ぎるまでは我慢して、故人の冥福をお祈りすることに努めましょう。
<このページの筆者>
中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。
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