厄年とは何なのかを語ります

慎みの送る年回りである厄年

厄年について

 厄年は災厄が多い年齢とされています。厄年に当たる年には災難が降りかかったり、病気になったりすることが多いとも言われていますが、実はこの起源についてはあまりわかっていません。

 特に忌まれている大厄は男性の四十二歳、女性の三十三歳ですが、それぞれ「死に」、「散々」から来ているのではないか、という説があります。こういう語呂合わせは民間信仰ではよくあることですので、流布することに影響があったのは間違いないと思いますが、これだけが理由ではないと思われます。

慎みが要求される

 厄現在では厄年はとにかく災厄が降りかかって来る難儀な年齢、というように思われていますが、元々は町や村での神事に関わり始めになる年、また大厄の歳は神事の重役を担う年だったのではないかと言われています。

 男性は四十二歳、女性は三十三歳ともなると、その共同体で重要な役目に就く年齢であり、そのため物忌斎戒(ものいみさいかい。つつましくし、身をきれいにして暮らすこと)することが要請されました。神主もそうですが、神さまに近い位置で奉仕する人間は、心身ともに清浄であることが必要とされます。しかし、それを破り清浄さを保てないとなると災いが起こりかねません。そこで、厄年を恐れ、厄払いをお願いする習慣になっていたと思われます。
 厄年につつしまくしなければ災厄が降りかかる、というものが、いつの間にかその年が悪い年だということに変わっていった、というわけです。これだけが理由ではないかもしれませんが、諸説ある中で私が一番ふさわしいと思ったのはこの話でした。

 昔は神事の重役を担うというのは非常に重要視されました。お祭りというものに対する熱心さは、今からでは想像もつかないくらいでした。もちろん、昔の人の方が信仰心が深かったというのもあります。それに加えて、昔は今のように自由な時間や娯楽がたくさんあるわけではありません。仕事だけでなく炊事洗濯風呂すべて手間が掛かりました。そんな中で一年に一度のお祭りというのは大変な楽しみであり、また共同体重要なものであったのは想像に難くありません。そんなお祭りの大役を務める人間が、清浄を守らない、というのは問題であり、それで不幸があれば後々までも話に出てくることになったと思われます。

現代と厄年

 現在の社会においても、本厄の年齢あたりは職場や地域社会において重要な役目を担う年ではないでしょうか。祟るとかそういうことを恐れるのではなく、この年を一つの節目として今までの生活を反省し、これから社会や家庭においての自分の責任を再確認して、そして神さまにこの年の安穏を祈願する、というのは大切なことであると思います。

厄年の年齢

  <厄年の年齢>
 ・男性の場合
 前厄 二十四歳 四十一歳 六十歳
 本厄 二十五歳 四十二歳 六十一歳
 後厄 二十六歳 四十三歳 六十二歳

 ・女性の場合
 前厄 十八歳 三十二歳 三十六歳
 本厄 十九歳 三十三歳 三十七歳
 後厄 二十歳 三十四歳 三十八歳

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<このページの筆者>
 中島隆広 : 出雲大社紫野教会、教会長
昭和46年京都府生まれ。名古屋大学経済学部卒業、会社員の後、パソコン部品のインターネット通販の会社を起業して経営する。会社売却の後、國學院大學神道學専攻科に入学し、神主となる。

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