出雲大社境内案内(その1)
大鳥居
南の方から、いよいよ出雲大社に近づいてくると、目に入ってくるのがこの「大鳥居」です。宇迦橋を渡ったところにそびえ立つ大鳥居は、鉄筋コンクリート製で高さ23メートル、柱の周り6.5メートル、額面の大きさは畳6畳分もあります。出雲大社を熱心に信仰された実業家小林徳一郎氏が大正4年に寄進されました。額の字は第八十代出雲国造、出雲大社大宮司の千家尊福(せんげたかとみ)公の御書によるものです。
神門通り
明治末に国鉄大社駅が開業した時、駅から出雲大社までの道が開設されました。「神門(しんもん)通り」と命名されたのは前出の出雲大社大宮司、千家尊福公です。
出雲大社参詣者の交通手段が鉄道から自動車に替わり、大社線も平成2年に廃止となったため一時寂れ気味でしたが、平成25年の「出雲大社 平成の大遷宮」をきっかけに整備がされ、道の一部が石畳になり、新たにお店も増えて、昔の賑やかさを取り戻してきました。
勢溜
出雲大社境内の一番南、正門にあたるところにある広場を「勢溜(せいだまり)」といいます。江戸時代の遷宮の際に、林を切り開いて広場が作られ、芝居小屋が設けられました。人の勢いが溜まるところということで勢溜と呼ばれるようになりました。大きな鳥居があり、ここから御神域となります。なお、一部ネットで前述大鳥居を一の鳥居、この勢溜の鳥居を二の鳥居と呼んでいるものありますが、特にそういうことはありません。(数字で呼んでいません。ここからが御神域ですから、あえて言うなら勢溜の鳥居が一番目の鳥居になります)
人が集まる日には露店が開かれています。
JR出雲市駅からバスで来た場合、「出雲大社連絡所」バス停まで乗ると一番近いのですが、初めて出雲大社にお参りする方は一つ前の「正門前」バス停で降りて、勢溜から進まれることをお薦めします。
千家尊福公像
勢溜を進むと右奥に見える銅像は第八十代出雲国造、出雲大社大宮司の千家尊福(せんげたかとみ)公です。尊福公は明治、大正時代に日本の神道界、宗教界を引っ張るくらいに活躍された方です。また、宗教家というだけでなく、政治家としても活躍され、貴族院議員、東京や埼玉の知事を歴任し、司法大臣にも就かれました。さらに、全国の出雲大社の信徒を結集して、神社界では珍しい大規模な組織となった出雲大社教の礎を築かれた大人物です。
そのような凄い方でしたから、いろんな業績を残されました。
下り参道
勢溜から参道を進むと、少し下っていきます。神社では珍しい下り参道ですが、勢溜が高い位置にあるためで、何か深い意味があるとかはないと思います。
祓社
下り参道の途中右手に「祓社(はらいのやしろ)」があります。御祭神は祓戸神四柱。参拝の最初にまずここにお参りして心身を清めましょう。
なお、出雲大社連絡所バス停や駐車場から境内に入ると、この祓社はあまりにも遠いため、神楽殿の前庭にも祓社がお祀りされました。車で来られた人はそこにお参りしましょう。
神楽殿前庭の祓社
浄の池
祓社にお参りして、さらに参道を下っていった右手にあるのが「浄(きよめ)の池」です。静かに休憩するにはよいところです。
野見宿禰神社
浄めの池の反対方向、参道から左手に進むと「野見宿禰神社」があります。野見宿禰(のみのすくね)命という神さまは出雲大社の宮司家である千家国造家のご先祖さまでもあり、垂仁天皇の御代に相撲を取って勝ったという記載があり、「相撲の元祖」と称えられています。出雲と相撲とは関係が深いのです。
松の参道
祓いの橋を越えると参道が広くなり、二列の松並木が並んでいます。松の参道と呼ばれています。途中には中ノ鳥居があります(三の鳥居ではありません)。松並木によって真ん中と左右に別れますが、真ん中は神さまの通り道ということで、参拝者は通らず、左右を歩きます。
神苑
松の参道の両側に広い野原、神苑が広がっています。特設会場が設けられて、奉納行事等が行われることがあります。春には桜が咲き誇り、大変綺麗です。桜の時期にもお参りしてみてください。
うさぎ像
西の神苑の奥に、かわいいうさぎの像がたくさん並んでいます。『いなばの白うさぎ』のお話しは知っている人が多いと思いますが、そのうさぎを助けられたのは、出雲大社の御祭神である大国主大神さまなのです。この神苑だけでなく、出雲大社の境内のいろんな所にうさぎの像が置かれていますから、探してみてください。
杵那築の森
東の神苑の奥に、鳥居が見えます。ここは「杵那築(きなつき)の森」というところです。神代の昔、出雲大社を造営した際に使用した杵が納められているという伝説があります。その昔、社と書いて「もり」と読んだことがあったように、森自体が神社になっているところがありました。そのような古い思想を受け継いでいるものといえます。ですから鳥居はあっても社殿はありません。
そのような建築に関する伝説がある聖地なのです。
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